- 2008年の目標は
“MTIの技術部門と(日本郵船の)営業部門との距離をもっと近づける。”このことは昨年もやってきたことですが、今年もずっとやり続けなければならないと思っています。
技術部門の人たちは、シーズ(技術の種)という宝の入った箱を持っています。逆に営業部門の人たちはお客さまからのニーズあるいは、自分たちの事業をこうしたいというニーズを持っています。互いに知恵を持ち寄って、我々は技術の宝箱の中から、ニーズに見合うシーズを出していき、求められている課題を解決していきます。ドラえもんのポケットのように。
このシーズをMTIの中にどんどん蓄えていくことが非常に大事なことです。そうすることによって、営業の人がもっと“MTIに行って聞いてみよう”という話になります。
そして、もっと双方の距離が近くなって、わいわいがやがやという雰囲気が出て、そこに今まで出てこなかった新しいソリューションが生まれるとなおいいと思います。
4年前、MTIを設立する前に、私は日本郵船の経営委員会に加わっていましたが、営業部門と技術部門の距離が遠くなっている気がずっとしていました。双方の距離を近づけるためにMTIは発足されたのですから、MTIは進化しなければならないし、これはみんなが努力していくべきところだと思います。
- チャンスの年
環境・省エネが経営課題となり、企業努力や価値がCO2 排出量で計られるようになってきた昨今、MTIがその課題に対しどのように応えていけるか、試される一年になると思います。今年はMTIにとって正念場であり、MTIはこれだけのことができると、NYKグループだけでなく、世界や社会に向けて自分たちをあらわしていけるチャンスの年になると思います。今ほど技術というものに対して、日本郵船の経営層が注目してくれているときはありません。今やらずにいつやるのだという強い決意をもって、やっていきたいと思います。
- MTIスタッフにひとこと
いつも“社会や世界が何を求めているか”にもっと目を向けてもらいたいと思います。NYKとの関係の向こう側に、世界があり、社会があります。MTIがミッションに掲げた「モノはこびの技術開発・提案を通じて、世界中の人々の経済活動、文化活動に貢献していく」を念頭に置いて、一人ひとりが“世界を良くしよう”という気概を持ってやってもらえるとうれしいです。
- パートナーの皆さまに
MTIは海運・物流業界、造船所、船用機械を造っているメーカー、RFID関係のソリューションを持っている様々な方々との、“コラボレーション”で新たな技術の開発に取り組んでいます。MTIが実現しようとする取り組みは、MTIひとり(1社)ではできないことばかりです。いろいろな人の知恵を集めながら、新しいものをつくり上げていく、“コラボレーション”、協働(ともにはたらく)というやり方なのです。
一緒に物事を進めていく上で、利害対立することはあるかもしれませんが、その壁を超えていかなければ、本当にいいものはできないと思っています。
環境技術に対して何かやっていこうとするとき、一企業だけの話でなく、世界や社会のニーズに合わせて、皆さまとのコラボレーションでやっていきたいと申し上げたいです。
省エネの船をつくりたい場合、いろいろな造船所とメーカーの方がいて、それぞれが特許をもっていますが、本当にいいものをつくる場合には1つの船にいろいろな技術を駆使しながらつくっていく必要があると思います。A社だったらこれができて、B社だったらあれができてという話ではなく、A社、B社、C社という企業や業際(業界の壁)を超えみんなが知恵を持ち寄って、本当に社会の役に立つものをつくることを探求していく力が必要であると思います。その中でMTIはそういう力を発揮して、コラボレーションで真の技術をつくるリーダーになりたいと思います。
そのために、こんな新しい技術開発をやりたい人、興味ある人に向かって、“この指とまれ”を発信して、そこに集まってきてくれた人と、真の技術をつくっていきたいと思います。特に、環境、省エネ、それからRFIDソリューションについてはどんどんやっていきたいと思います。
2008年は“この指とまれ”を積極的に発信していきます。
- MTIの印象は
ひとことで言うと、非常に若い会社で、(郵船にいないタイプの人も含めて)いろいろな人がいて、ダイナミックな会社であるという印象です。3年経っていることもあって、初心に立ち返った上でさらに、もう一回やろうぜという気持ちをみんなに持ってもらいたいと思います。これまで営業のニーズをもっと聞きなさいと言ってきて矛盾するようですが、一方でシーズの探求をやり続けてほしいとも思います。こんな開発をしたいとか、こんな技術が役立つとか、どんどん提案してほしいと思います。そのような声を上司にどんどんぶつけていってもらい、いろいろなアイデアをあげていき、調査・分析をして、それらの研究の実現に向けて進めていきたいと思います。これを日本郵船にも社外にも、どんどん発信をしていきたいし、シーズの探求、自分が本当に面白いと思うネタを探求し続けてほしいと思います。
特にRFIDや環境のフィールドについては、MTIが一番得意とする分野になっていきたいし、日本郵船が環境に強いのはMTIがあるからだと言われるようにならなければならないと思っています。そういう意味でも、環境、省エネのシーズ探求は積極的にやっていってもらいたいです。これは、自分がやっている仕事に関係あろうとなかろうと、担当の仕事の枠から飛び越えても構わないと思います。そういう中で出てくる、こんな技術が必要だ、こんないい技術があるという提案は大歓迎です。そして、そういうものがあがってくる仕組みも作りたいと思っています。
- MTIの魅力について
MTIには様々なバックグラウンドの人たちが和気藹々としていて、社外の人も含めてオープンに様々な研究・ディスカッションができる場が提供されています。そして、そのオープンな場にどんどん新しいテーマを持ち込み、その場の中にいろいろな人が加わることができる、いきいきとした場の雰囲気があります。MTIはそんな既成概念にとらわれない、新しいことを気軽に身軽に進めていける機動性みたいなものを持っており、これが多くのテーマを生み出してきていると思います。
- 人材育成と技術戦略という2つの全く異なるものをもっているMTIの強みとは
MTIが研究開発部門と人材育成部門との2つを持っている強みは、技術開発をしている人が自分の専門分野を教えることができるということです。我々はNYKグループにおいて、NYKグループの社員であれば技術系のどういう知識が必要であるか、技術側面からの人材像、知識を教えていくことができると考えます。
人材育成部門がNYKグループに対して、現在運営している事務系のプログラムはもちろん大切ですが、そこに我々の研究員の人たちがもっと寄与できないかと思っています。おそらく、これを実現することによって、営業と技術が近づくという面でも必ずプラスになっていくだろうし、営業、事務職の人たちに技術のことをもっと教えていくことが、われわれの使命だと思っています。
MTIはこれがきちんとできるところになっていきたいです。もちろん、いまの講座の中にも技術系のものは入っていますが、もっと強めていかなければなりません。
そこで、社内だけでなく、社外に対しても我々のもっている技術について講義をしていく場をたくさん設けていきたいと思います。そこに日本郵船グループの社員に来てもらっても構わないし、外の方ももちろん呼んで、その中で外の社会とのつながりもできていくだろうし、ある技術テーマについて興味のある人が集まってきてもらえるよう、“この指止まれ”を発信できる形をどんどん設けていきたいと思います。
これが、2008年に実現したい目標です。
“モノ運びのプロの育成をしていく”ことについては、船周りの技術だけでなく、RFIDの技術や物流のビジネスモデルも含めていろいろな観点から教えていけることはたくさんあると思うので、それを人材育成プログラムに組み込んでいくことでMTIが技術開発と人材育成の部門を両方もっている意味をみんなに理解してもらうようにやっていきたいと思います。