MTI People

ビッグデータ活用で
世界のトップと渡り合う

角田 領

船舶情報グループ
SIMS推進チーム長

2016年3月1日掲載(職名は掲載当時)

現在の仕事内容

img_kakuta_01

自動車船での計測作業

船で計測された運航データを、燃費改善、安全運航、輸送品質向上等に活用するための研究開発を行っています。具体的には、運航データを計測するためのシステム開発、データを陸側で活用するための表示システムや分析手法の開発を行っています。様々な分野で、ビッグデータの活用が進んでいますが、海運会社の中でビッグデータをどのように活用するか、というのが現在の大きなテーマになっています。

MTIに入社を決めた理由

学部、大学院は工学系でしたが、文理融合を特色としていたので、工学の基礎、IT、社会システム、ビジネスなど幅広い分野を学びました。ちなみに、船については全く勉強していませんでした。所属した研究室では、当初、テキストマイニングなど人工知能を活用する研究に取り組んでいました。しかし、研究を進める内に、船員の会話記録のテキストマイニングにチャレンジすることとなり、それ以来、船が私の研究対象になりました。博士論文では、シミュレーションによるチーム操船作業の定量的評価、というテーマに取り組みました。そして、卒業後も船に関わり続けたいと思うようになり、候補となるいくつかの会社や研究所にコンタクトし、その中でも、一番現場に近く、実用的な研究ができると感じたのがMTIでした。

仕事で一番印象に残っていること

装置動作確認のための乗船

装置動作確認のための乗船

研究のため船に様々な装置を搭載することがありました。万一うまく搭載できないと、次に国内に戻ってくるのが2-3ヶ月先の場合もあるので、絶対に成功させなくてはなりません。さらに、停泊時間も限られており、ますます緊張感が高まります。事前準備はもちろんのこと、現場での臨機応変の対応も求められます。最近では、搭載工事に立ち会うことは少なくなりましたが、あの緊張感は忘れられません。搭載工事が無事終わったあとのお酒は格別に美味しいです。

仕事の魅力・やりがい・楽しさ

現場がすぐ近くにあり、これほど研究しやすい環境はないと思います。この恵まれた環境を生かして研究開発を行えば、世界のトップレベルと渡り合うことができます。また、海外の企業や研究機関と共同研究を実施したり、海外のシンポジウムで発表したりする機会もあります。このような機会を通じて、自分を成長させられるのもMTIの魅力の1つだと思います。

自分なりの方法論・哲学など

問題の本質は何かということを良く考えるようにしています。考えるだけでなく、手を動かしてみることも重要です。自分の中で仮説を立て、少し手を動かして、何らかの結果を示し、評価をもらい、もう1度良く考える。若いうちは面倒でも、これを繰り返すのが近道だと思っています。
もう1つ、現場の観察から洞察を得るということも大事だと思います。IBIS(Innovative Bunker and Idle-time Saving)というコンテナ船の省エネ運航プロジェクトに参加するため、1年以上運航現場に身を置いて、研究開発を行う機会がありました。日常の会話や仕事の様子を観察しながら、どうすれば、この組織・現場の中でデータや技術が活用できるか、ということを日々考えていました。こうした観察を通じて、新たに省エネのアイデアを提案し、プロジェクトの成功に貢献することができました。
博士課程での研究の中で、操船シミュレータトレーニングの様子を観察・分析し、船舶ブリッジにおけるチームが、組織としてどのように協調しながら見張りや操船を行っているかをモデル化しましたが、このような経験がIBISプロジェクトでも役立ったと思っています。このような観察の手法はエスノメソドロジーと呼ばれており、社会学の研究方法ですし、チームの協調作業の分析というのは組織論のテーマです。現在、ビッグデータの活用を進めていますが、最終的には、組織の働き方を含めてどのように変えていくか、というのが重要であり、研究テーマ自体は全く違ったとしても、博士課程の研究の中で学んだ様々なことが今も役立っていると感じます。img_kakuta_03

職場の雰囲気

職場の雰囲気は明るいと思います。デスクに仕切りが無いので、皆の様子もよく分かり、コミュニケーションもしやすく、風通しは非常に良いです。社長室もガラス張りです。

アフターファイブ・休日の過ごし方

以前はゴルフもやりましたが、最近の休日はもっぱら子供と遊びます。カメラが趣味なので、日々の子供の成長ぶりを写真に収めています。

今後の夢や目標

MTIがトップレベルの研究開発機関であると世界から認められるように、世界にアピールできる成果を出し続けることが目標です。個人としても、研究者として業界で一目置かれる存在になりたいと思います。

学生へのメッセージ

今は船のことが分からなくても問題ありません。ITでも機械でも、何か1つ得意分野があればよいと思います。世界のトップを目指して、一緒に研究開発をしましょう。