船舶向けサイバーリスク管理システムをDualog社と共同開発
~ノルウェー政府系基金からの支援を獲得~
本日、日本郵船は海事ITの先進企業であるDualog社(注1)およびノルウェーの政府系ファンド「Innovation Norway」(注2)と共同で、船舶向けサイバーリスク管理システムの開発に関するプロジェクトを発表しました。同プロジェクトはInnovation Norwayから2年間の資金援助を受け、システムの開発に取り組みます。
背景
ICT(情報通信技術)の発展により船舶のインターネット常時接続が普及し、船舶IoTによる運航データの陸上でのモニタリングや電子海図データの配信など船陸間でのデータ共有が可能となりました。一方で、常時接続に伴い外部からのマルウェア感染(注3)といったサイバーリスクにも晒される恐れがあります。これらの背景のもと、2017年6月の国際海事機関(IMO)の第98回
海上安全委員会(MSC98)で、船主・船舶管理会社の安全管理システムにサイバーリスク管理に関して記載することを推奨する国際ガイドラインが採択されました。
日本郵船は2017年にDualog社とパートナーシップを結び、同社の強みである船陸間データ共有をテーマに開発を進めてきましたが、今回、サイバーリスク管理に焦点を当てた新たなプロジェクト「Cepa Shield(セパ・シールド)」を立ち上げました。
Cepa Shield(船舶向けサイバーリスク管理システム開発)
プロジェクトの概要
Cepa Shield(“Cepa”はラテン語でタマネギという意味)プロジェクトで開発する船上サイバーリスク管理システムは、日本郵船が運航している全ての船舶に適用が可能で、本船のセキュリティ状態を何層にもわたって監視できる、という特徴を持ちます。
全船に適用することにより、外部からサイバー攻撃を受けた際、その攻撃に対する各船の状況を陸上から一括してモニタリングし、どの船に攻撃が集中し、どの船を防御すべきかをより迅速に、効率的に対応することができます。
今後2年間かけてInnovation Norwayの資金援助のもと、日本郵船が管理運航する50隻で実際に搭載・運用してトライアルを行います。
記者発表について
11月21日に駐日ノルウェー王国大使館(東京都南麻布)で記者発表を実施しました。
写真左から)駐日ノルウェー王国大使館 Otto Malmgren参事官, Innovation Norway Japan
Per Arve Frøyen Director, Dualog社 Morten Lind-Olsen CEO, 日本郵船経営委員 鈴木英樹,
当社船舶物流技術部門長 安藤英幸
日本郵船グループは、船舶の安全性・経済性の追求および国際的な競争力の強化のため、中期経営計画“Staying Ahead 2022 with Digitalization and Green”に基づき、デジタル技術を駆使した
新たな価値創造を目指します。
(注1)Dualog社
1994年にノルウェーで設立。海事分野のデジタルプラットフォームのサービスプロバイダーとして、船舶向けに信頼性とセキュリティレベルの高い、インターネット、Email、クラウドサービスを提供。船舶管理に必要な船上のITサービスをこれまでに3000隻以上の船舶に提供。(本社:ノルウェー・トロムソ、CEO:モルテン・リンド-オルセン)
(注2)Innovation Norway
ノルウェーにおける産業革新(イノベーション)の推進およびノルウェーの地域産業振興開発の支援を目的として、ノルウェー企業の海外市場への展開、事業開発等に対しコンサルティングサービスを行う政府系ファンド。(注3)マルウェア
コンピュータの正常な利用を妨げ、利用者やコンピュータに害を成す不正な動作を行うソフトウェアのこと。