海事クラスター共同研究 「実海域実船性能評価プロジェクト(OCTARVIA)
フェーズ2」へ参画

日本郵船グループは、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所が主導する、船舶の実海域における性能評価に関する共同研究「実海域実船性能評価プロジェクト(OCTARVIA)フェーズ2」(以下、本プロジェクト)への参画を決定しました。本プロジェクトでは、日本の海運・造船・舶用工業企業及び気象関係団体の23機関が共同研究に参画し、本日、3月15日に第1回会合を開催、研究の実施体制や進め方を中心に審議しました。今後は2024年3月末までの約2年間で、総額約2.6億円の予算を投じ共同研究を行います。

背景

実海域実船性能評価プロジェクト(OCTARVIA)は、船舶の設計段階において、実際に運航する波や風のある海域の中での船舶性能(速力、燃費等の性能等:実海域実船性能)を正確に評価する方法の開発を目的とし、2017年11月にフェーズ1(2017年11月から2021年3月での期間)が始動しました。この取り組みは、効率的な海上輸送や、温室効果ガス排出削減などの環境負荷低減に繋がります。日本郵船グループは、OCTARVIA開始以前から実海域実船性能の研究を進めており、
OCTARVIAのフェーズ1にも参画して、実海域における実船の運航データを提供し、世界中の船舶をほぼ同じ精度で客観的に評価・比較できる指標の確立に貢献をしてきました。

本プロジェクト概要

本プロジェクトは『OCTARVIA会議』と『OCTARVIA2』から構成されており、それぞれ参加機関数が異なります。日本郵船グループは、『OCTARVIA会議』と
『OCTARVIA2』に参画します。

OCTARVIA会議(予算額約60百万円: 23機関参画)

OCTARVIAのフェーズ1で得られた成果(実海域実船推定・計測・評価手法及び計算プログラム等)を参加機関以外の船社や造船所に普及させる事や、国際標準化機構(ISO)や国際試験水槽会議(ITTC、注1)への働きかけによる国際標準化を推進します。

OCTARVIA2(予算額約2億円: 20機関参画)

OCTARVIAのフェーズ1で開発した成果物の更なる技術面の研究を推進します。具体的には、フェーズ1で開発したライフサイクル主機燃費評価法(注2)の代替燃料利用船への適用について研究します。参画機関各社で実海域実船性能評価を運航船で検証するために、シップデータセンターが提供し、日本郵船グループも参画している船舶IoTの共通基盤「IoS(Internet of Ships)オープンプラットフォーム」(注3) 及び、日本気象協会が提供する気象海象データサービス「POLARIS(ポラリス)(注4)」 とデータ連接をします。

 

日本郵船グループは、ESGの経営戦略への統合を更に加速させることを掲げた、「NYKグループ ESGストーリー」(※)を2021年2月3日に発表し、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献する活動を進めています。日本郵船グループはESG経営を力強く推し進めるべく、実海域実船性能評価プロジェクトフェーズ2の一員として本プロジェクトを進め、世界の海上輸送の高度化に貢献すべく、「Sustainable Solution Provider」として新たな価値創造を推進してまいります。

※NYKグループ ESGストーリー
日本郵船グループにおいて、ESGを経営戦略に統合するための考え方と具体的な取り組みを明示する指針。詳細はこちらのプレスリリースからご覧いただけます。

注1: 国際試験水槽会議 (International Towing Tank Conference)
水槽試験及び数値シミュレーションによって船舶及び海洋構造物の流体性能の予測を行うための推奨手法等を提案する国際的な任意団体。

注2: ライフサイクル主機燃費評価法
主機(メインエンジン)の一定期間の燃料消費量、輸送距離、輸送貨物量から算出される、累積の主機燃料消費量に関する指標(ライフサイクル主機燃費指標)を用いた主機の評価方法。

注3:シップデータセンター及び IoS-OP
・株式会社シップデータセンター(ShipDC)
海事産業全体におけるビッグデータの活用機会を最大化することを目指して、一般財団法人日本海事協会によって2015年に設立された企業。

・IoSオープンプラットフォーム(Internet of Ships Open Platform)
船舶の運航データについて、船社などデータ提供者の利益を損なわずに関係者間で共有し、造船所、メーカー等へのデータ利用権や各種サービスへの提供を可能とするための共通基盤。

IoS-OPコンソーシアム | ShipDC (shipdatacenter.com)

注4:気象海象データサービスPOLARIS
日本気象協会が提供する、地球全球の詳細な気象海象データを蓄積した巨大なデータベースによる情報提供と、これを用いた航海支援サービス。

海事産業向け気象海象データサービス POLARIS(ポラリス) | 交通運行支援/運航支援 | サービス | 日本気象協会 (jwa.or.jp)

関連リンク

国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所のプレスリリースへ

日本郵船グループのデジタライゼーションの取り組み