「Monohakobi Techno Forum 2022」に寄せられたご質問への回答(Q&A)を掲載しました

「Monohakobi Techno Forum 2022」では残念ながら質疑応答ができませんでしたが、アンケートに寄せられたご質問への回答(Q&A)を掲載します。
あらためて、アンケートにご回答いただいた皆様に感謝申し上げます。なお、追加で頂きましたご質問につきましても追って回答を掲載いたします。

井上 伸一 講演「シミュレーション技術を用いた代替燃料船の運航サポート」
Q 代替燃料船はゼロエミの達成に必須の技術であり、過渡期はLNG燃料が有望ということが良く理解できた。一方、MTI殿が研究されているように相当、高度な技術が必要となるため、高負荷価値の船舶でないと導入が難しいのでは?と疑問に思った。その意味で有望な船種は何か?等についてご教示頂けると嬉しいです。
A ご指摘のように従来船より高い技術が必要であり、船価自体も増加する事から対象船種は先ずは高付加価船からという考え方になるかと思います。一方で実際には自動車輸送船でLNG燃料仕様の採用が最も早く進んでいます。昨年実施されたMANの技術セミナー(MAN Energy Solutions Technical Seminar 2021, Japan)では、自動車輸送船については100%がLNG DF主機の契約である事が発表されていました。続いて原油タンカーが30%弱、コンテナ船が20%強、バルカーが15%という報告です。(LPG二元燃料主機なども含まれています。)このように高付加価値船に限らず、急速にLNG燃料化が進んでいると思われます。
山口 真 講演「GHG排出削減と船舶省エネ技術開発」
Q キャビテーションによるエロージョンは一定程度許容するということでしたが、プロペラ表面の滑らかさが失われることによる効率の低下についてはどのように評価、検証しているのでしょうか?
A ご指摘通りプロペラ表面粗度による効率悪化影響もございますが、今回の設計において、CFD計算によりエロージョンはプロペラ先端数十mmの発生範囲と想定されており、その範囲であれば、プロペラ全体の推進性能(推力及び効率)への影響はほぼ無視できるほど軽微であると考えております。理論上は上記の通りですが、そういった点の実船における影響についても引き続き検証を実施していくこととしております。
中村 純 講演「NYKグループの自律船開発と今後の展望」
Q 他船の動静は外部環境と整理し、本船との間に情報共有・意思疎通はないということが自律運航システム開発の前提にように見受けられましたが、AIS等や何らかの手段の利用により、相互に情報を共有し、個船ではなく複数の船舶を一つの「系」として捉える運航システム(この場合は自律という言葉はつかえませんが)というアプローチでの研究開発についてご存じでしたらご教示ください。
A ご認識の通り、自船にある複数センサーで他船の動向は確認しています。一方ご指摘頂いた船船間通信を利用した取り組みでは過去スウェーデンでSTM(SeaTrafficManagement)という取り組みでルート交換をする取り組みは実施しています。またVDESという仕組みを使って実施できないかという点も検討していると聞いております。
次回の講演会で取り上げてほしいテーマやMTIの活動に対するご意見・ご要望
Q GHG削減や船舶のDX化のための技術開発は、益々活発に進められることと思いますので、その最新技術を引き続き教えて頂きたく思います。無人運航船に行きつく前には、アンモニアや水素等の新燃料の取扱いや、DX化に伴う情報処理に長けた船員養成も必要かと思いますので、最新の技術を活用した人材育成の取り組みなどを行われておりましたら、教えて頂けますと幸いです。
A ご意見ありがとうございます。今後のMonohakobi Techno Forum等で発信していきます。