完了プロジェクト(2009年度)
2009年度にMTIで完了したプロジェクトの一覧です。
環境・省エネ・船舶運航技術
船内消費電力の計測
- 就航中の自動車運搬船(PCC)及びコンテナ船の船内消費電力の実態を把握するため、機器毎に消費電力を一年間計測した。計測した消費電力を基に、PCCの発電機容量の最適化シミュレーションを実施、発電機の構成を工夫することで0.5%の省エネが見込めることが明らかになった。
船舶のパフォーマンスモニタリングシステム開発
- 船速、燃費といった性能に関する航行中の船舶の状況を陸からモニターするパフォーマンスモニタリングシステム「SIMS(Ship Information Management System)」について、陸側と船側システム を開発した。
バラスト水処理装置の船上試験
- JFEエンジニアリング製バラスト水処理装置について船上試験を実施し「G9最終承認及びG8 型式承認の取得要件」に必要なデータを取得した。その結果、2010年3月のMEPC60においてG9最終承認を取得した。さらに、5月26日 日本政府(海事局)の型式承認を取得した。
省エネ付加物(MT-FASTとバウスラスターカバー)のFUELNAVIによる実海域性能評価
- 省エネ付加物「MT-FAST」とバウスラスターカバー(蓋)について、燃費計「FUELNAVI」を用いて同型船2隻(1隻は付加物装備、他の1隻は装備せず)の実船計測を実施し、これら付加物の性能を評価した。
風圧抵抗低減検討
- 風圧抵抗を低減する船体上部形状のアイデアを出し、それらについて、流体解析(CFD)及び風洞試験を実施して、効果の比較検討を行った。その結果、風圧抵抗係数20%低減(燃費換算でPCC 1%, コンテナ船 1.7%相当)を得た。
CRP(二重反転プロペラ)の性能検討
- 前後のプロペラの出力比率を種々変化させた場合のCRP効果を検証し、設計指針を得た。
自動車船荷役時間短縮
- 自動車運搬船(新造船)の荷役時間を短縮するため、艙内スロープ配置を種々検討し、それぞれの荷役時間について、荷役シミュレータによる定量的な評価を行った。また、荷役シミュレータを使って、荷役に従事するギャング構成の最適化も検討した。
煤塵除去装置の搭載検討
- 日本ガイシ製のセラミックフィルターを使用した煤塵除去装置の性能について評価した。さらに、同装置を実船に搭載する場合の機関室配置を検討した。
燃料電池システムの船上搭載に向けた検討
- 小容量の燃料電池の船上搭載を初期検討し、本年度は50kw級燃料電池を実船搭載するためのフィージビリティー・スタディーを行った。系統図・配置図を作成し、日本海事協会(NK)の協力も得て関連規則への対応についても検討した。
二次電池システムの船上搭載に向けた検討
- 二次電池を搭載した場合の電力プラントについてシミュレーションを実施し、二次電池の必要容量の試算、課題の抽出を行った。また、二次電池の搭載法の検討、関連規制および規則(NK)の調査を実施した。
新制御CPP*の開発 Phase2
- 独自のCPP*の制御方式を開発し、シミュレーションによる検討を経て、実船に搭載し、その効果を確認した。CPP*=可変ピッチプロペラ
船舶用CO2回収の研究開発
- 船舶から排出されるCO2の削減のため、陸上で開発が進められているCCS(Carbon Dioxide Capture and Storage=CO2の回収・貯留)を舶用に展開するビジネスモデルを検討した。
自動車運搬船カーゴホールドへのLED照明装置搭載評価
- 実船にLED照明装置を搭載し、照度、耐久性、省エネ効果の他、実荷役作業への影響を評価した。
太陽光発電システムの就航後の性能モニタリング
- 太陽光発電システムを設置した2隻の自動車運搬船について、就航後の耐久性、発電量について1年間確認した。
自動車運搬船における動揺及び摩擦計測
- 自動車船におけるラッシング計算に使用されている摩擦係数の妥当性を検証するため、船体動揺(船首尾方向のPitch角、横方向のRoll角、上下加速度、ならびに各動揺の周期)、タイヤにかかる静摩擦力を実船で計測した。これにより、ラッシングの効果をより正確に定量評価することが可能になった。
以下の8プロジェクトは、国土交通省の平成21年度「船舶からのCO2削減技術開発支援事業」の補助対象事業として、また一般財団法人日本海事協会の「国際海運における温室ガス(GHG)削減技術に関する研究開発」の共同研究テーマとして採択されています。
*うち3件は日本財団の支援も受けています。
**また、うち1件は財団法人日本造船技術センターとの共同研究テーマにも採択されています。
空気潤滑法を用いたCO2削減 - 実船適用検討
- 空気を船底に送り込み、船舶と海水の摩擦抵抗を低減させる「空気潤滑システム」の実証試験を日之出郵船所有のモジュール運搬船で実施する。ブロワ(送風機)方式による同システムの恒久的運用は世界初の試みである。モジュール運搬船は大型外航船としては幅広で喫水が浅いため、摩擦低減効果が大きい上に空気を送り込むために必要な動力も小さく、約10%のCO2削減効果を見込む。
空気潤滑法による外航船舶の省エネ技術の研究開発への参画
- 海上技術安全研究所が継続的に研究に取り組んでいる空気潤滑法について、3年計画で基礎的な実験を進めることになり、造船各社と共に当社も参画することとした。 今年度は、空気投入エネルギー削減のために主機掃気ガスの一部を船底に送込むシステムの開発及び主機の陸上試験での掃気ガスバイパス実験を行った。 また、プロペラへの空気(泡)流れ込み影響を調査するため模型試験、船底空気挙動シミュレーションの開発にも取り組んだ。
空気潤滑法の石炭船への実船適用検討 [Phase1]**
- 上記の「空気潤滑法による外航船舶の省エネ技術の研究開発」をベースとして、主機掃気ガスを船底に送込む空気潤滑システムの石炭船への実船適用に、4年計画で取組む。 単に掃気ガスが船底に供給出来るということだけでなく、主機に悪影響を及ぼさないことを確認する。今年度は、水槽試験により船底から出る気泡の挙動の観測、陸上での掃気バイパスガス実験、主機の信頼性を損なわぬことの確認、制御系の追従性の検討などを行った。
本船性能モニタリングシステムの開発
- システム改良や運航解析技術の深度化を図った。特に、運航データの解析と船側システムについては信頼性向上を図った。また、陸側システムについてはユーザー向け機能追加により、レポートの作成、その内容に基づくモニタリングやオペレーション指針の策定、というサイクルを回すことができるようにした。
気象・海象の周期的外乱に対する負荷変動安定化装置の開発 [Phase1]
- 気象・海象の周期的外乱に起因した主機負荷の変動によって燃料消費量が増加する現象に対して、負荷変動を平準化する装置を開発し、主機の燃料消費量の削減を目的とする。4ヵ年計画の1年目は、CPPおよびSGMを用いた負荷平準化の検討、シミュレーション計算を実施し、効果試算、開発要素の洗い出しなどを実施した。
国際運航管理システムの開発 [Phase1]
- 運航管理システムを実現するための各種調査と、将来の運航管理システムの要件定義、港湾予約システムの要件定義を実施した。
温室効果ガス排出削減に向けた船型大型化に伴う操船性能に関する研究開発 [Phase1]
- 全長200m以上の船舶について、200m未満の船舶と同等な性能を確保するための新要件を決める。4ヵ年間のプロジェクト初年度は、航海機器の調査、航海援助装置の要件定義、操船シミュレーションを用いた安全性評価を実施した。
ハイブリッドターボチャージャーの船舶実用化技術の開発 [Phase1]
- 主機の排ガスエネルギーを利用した “MET Hybrid Turbo Charger ”を実船に適用する。4ヵ年計画の1年目は発電機の製作を完了した。
輸送品質コンサルティング
コンテナ外板損傷の新補修方法の開発
- 冷凍コンテナの損傷(穴あき)修理は、これまで補修板をリベットにより固定する方法をとっていたが、3~5年経過すると、錆が生じるなど耐浸水性に問題があった。今回、リベットに代わり接着剤で固定することを検討。市販されている接着剤約100種についてデータを収集し性能を比較。その内、13種について、テストパネルによる接着強度や耐候性などを検証し、最終的に接着剤4種を選定した。
物流ソリューション
金属製ラック管理システムの開発
- RFIDを用いた金属製ラック管理システムのプロトタイプを開発した。タイ-日本間での実証試験を実施し、有効性を確認した。
輸送部材管理ソリューションモデルの開発
- RFIDを用いた輸送部材(容器)の管理手法を実用化レベルまで確立し、複数拠点間を行き来する通い箱の管理方法についてケーススタディを実施した。
完成車管理ソリューションモデル開発
- 総務省「ユビキタス特区」プロジェクト(3ヶ年の第2年目)を中心とした各種実証活動を通じ、車両管理用現車ラベル(管理伝票)の代替としてRFID技術が適用できること、またGPS等の測位技術により個々の車両の所在確認が簡単にできること等を確認した。
次世代物流ネットワーク技術研究開発
- 電子コンテナシール使用のための電波帯毎に有用性の検証を行ない、433MHzタグの有用性を立証した。また、電子シールを利用した中国-日本間でのコンテナ管理の実証実験(コンテナ100本以上)を実施した。 自動認識機器やシステム間のインターフェース、情報項目などの規格化を国際標準規格団体と協調して進め、港湾物流に関する各種情報を一元管理できるポータルサイトの要件定義、次世代物流ネットワーク導入効果試算、国際間でのコンテナ動静管理システムの設計を行った。
自動認識技術(RFID)の確立による国内動産担保融資への適用
- 動産担保融資サービスにおける運用上の課題である、担保物件の高度な管理(モニタリング)を、場所コード、企業コード、商品コードなどと同期をとることで解決すべく、433MHz帯のアクティブ型ICタグの表示機能・位置情報機能・情報ネットワーク技術を活用することとし、実際の物流現場でサプライチェーン上の担保物件に対して実証実験を試行し、継続的に物件と情報を整合させる技術としての有効性と課題を検証した。
倉庫内物流管理ソリューションモデル開発
- 複数の自動認識技術(パッシブタグ、アクティブタグ、バーコード、センサー、音声など)を用いて、現場サイトでフォークリフトを利用したRFIDシステムの実証試験を実施し、倉庫内における貨物、蔵置場所、作業指示などの情報を一元的に管理する仕組みを構築した。