完了プロジェクト(2010年度)

2010年度にMTIで完了したプロジェクトの一覧です。

環境・省エネ・船舶運航技術

風利用による省エネ技術の開発

3ヵ年計画の2年目。東京大学を主体としたJIP(Joint Indusdly Project)「ウィンドチャレンジャー計画」に参画。 (1)大型硬帆設計の際に検討すべき項目を抽出した。帆自体および縮帆機構等の設計・開発・制御に関する知見を得た。 (2)実航路における省エネ効果の算出プログラムを開発した。一例として、日本-豪州間に就航するケープサイズバルカーについて試算し、十分な省エネ効果が得られることを確認した。

コンテナ船の新ラッシング資材関連の研究開発

(1)数種類の素材を選定し形状や強度がコンテナのラッシング用として使用可能かどうか調査した。 (2)MTIが開発した改良型ユニバーサルツイストロック*1と他社製品について、MCS*2による動揺試験を実施、強度他の性能比較評価を行った。MTI開発品が外れにくい構造で、しかも軽量で操作性も良好であることを確認した。製品として販売することを前提に船級の型式承認を申請中。 (3)ラッシングを考慮したコンテナの積付計算について、MTI独自のソフトウェアを開発し、他社製のソフトウェアとの比較計算を実施した。次のステップとして、ラッシングの工夫で積載するコンテナの重量を増やすことを検討する。*1 ユニバーサルツイストロック:MTIが開発したコンテナ固縛用器具で、従来からのセミオートマティック・ツイストロック(積み荷時に自動ロック、揚げ荷時に手動ロック解除。=セミオート)と、フルオートマティック・ツイストロック(積み荷時、揚げ荷時ともに自動ロック・ロック解除。=フルオート)両者の機能を融合した特長を持つ。
*2 MCS:Multi-Cargo Simulator 大型三次元振動台

客船における船内消費電力削減の検討

陸上ビルでの消費電力削減技術を船舶へ応用して、NYKが運航している客船・飛鳥Ⅱに於ける消費電力削減の初期検討を行い、2009年度燃料消費量実績比で4.1%の燃料削減試算結果を得た。具体的には、空調の温度設定管理、照明のLED化、最新空調システム採用、発電機関の数と容量の最適化、冷却水ポンプのインバータ化等による。

MARIN主催「REFIT2Save」JIPへの参画 [Phase1]

JIP Meetingに参加し、MARINおよび本プロジェクトに参加している各社と船体付加物およびその効果のCFDを用いた解析手法、実船試験に関し討議をおこなった。

新素材を用いた風圧抵抗カバー研究

風圧抵抗低減を目的として2009年度に開発した船首部カバーの軽量化に取り組んだ。数種類の素材について検討を行い、特にFRP、膜材料については試設計も実施したが、最終的に強度とコストの両面から鋼製カバーが一番優れるとの結論となった。今後も、素材価格、加工法などについて引き続きウォッチしていく。一方、橋梁、ビル、車両などの風圧抵抗低減手法を調査した結果、形状改良の可能性があることや別途簡易な付加物でも風圧抵抗低減効果を得られる可能性があることがわかった。

以下の10プロジェクトは、国土交通省の平成22年度「船舶からのCO2削減技術開発支援事業」の補助対象事業として採択されています。うち9件は一般財団法人日本海事協会との共同研究事業「国際海運における温室ガス(GHG)削減技術に関する研究開発」の共同研究テーマとして採択されています。
また、**1件は財団法人日本造船技術センターとの共同研究テーマに採択されています。

空気潤滑法を用いた馬力低減 - モジュール船実船適用及び計測(2010年度)

3ヵ年計画の2年目。2010年3月31日および2010年11月29日に竣工したモジュール船2隻に空気潤滑装置を搭載、海上試運転時13%の省エネ効果を確認した。今後は就航後のデータ収集・解析をおこない実海域での効果検証を図る。

空気潤滑法による外航船舶の省エネ技術の研究開発への参画(2010年度)

3ヵ年プロジェクトの2年目。海上技術安全研究所(海技研)でバルカー船型における気泡流観察及びプロペラに流れ込む空気量計測、長尺模型試験による摩擦低減効果の長さ影響確認、大型エンジン(MAN6S70MC-C)の掃気エアバイパス試験をおこなった。

空気潤滑法の石炭運搬船への実船適用検討(2010年度)**

4ヵ年計画の2年目。今年度は、エアーチャンバ、空気噴出し孔の水槽試験による確認、主要機器仕様、制御システムの検討をおこなった。また2年間の検討果を踏まえ、実船装備可能であり、燃費削減効果が得られると判断、実船搭載を行うことを決定した。

船性能モニタリングシステムの開発(2010年度)

3ヵ年計画の2年目。陸側システム、船側システムの改良(陸側での対地船速のモニタリングを可能にし、船側のPCで、陸上と同等のトレンドグラフを表示する機能を開発)、運航解析レポート発行作業の自動化・効率化、波浪レーダーの検証、SIMS(Ship Information Management System)の大量データ解析ソフトウェアの開発をおこなった。

気象・海象の周期的外乱に対する負荷変動安定化装置の開発(2010年度)

4ヵ年計画の2年目。可変ピッチプロペラ(CPP)について、摺動面圧低減設計を検討し、FEM解析により面圧低減が図れることを確認した。さらにSGM(軸発電機)及び2次電池を組み合わせた負荷平準化システムの性能、価格、容量、技術的難易度などを検討した。

大容量・新型ニッケル水素電池を用いた外洋航海船向け二次電池の利用技術の研究開発 (2010年度)

4ヵ年計画の2年目。40kW級太陽光発電システムを搭載した”AURIGA LEADER”を対象に二次電池により出力を平準化する給電システムの設計・製作を行った。二次電池はギガセル(川崎重工業製ニッケル水素電池)を採用。2011年1月に陸上試験を完了した。6月に本船に搭載予定。

国際運航管理システムの開発(2010年度)

4ヵ年計画の2年目。GHG排出削減の観点から滞船時間短縮及び効率的な運航を目的とした「荷役・通峡時間の予約システム」について、国際運航管理システムの詳細検討、港湾予約システムの基本/詳細設計及びプロトタイプシステムの開発、港湾予約システムの陸上シミュレータ開発準備をおこなった。陸上シミュレータに用いるモデルは海技研が開発した「SPICA」に決定した。

温室効果ガス排出削減に向けた船型大型化に伴う操船性能に関する研究開発(2010年度)

4ヵ年計画の2年目。航海援助装置に関する新規・追加要件の調査、大型化PCC(全長230m)の水槽試験、同データを組み込んだ操船シミュレータによる、危険性が比較的高い4海域における操船シミュレーションを実施した。既存の全長200mPCCモデルと併せて2船型、24シナリオ、合計192ケースのシミュレーションにより、US値(不安全操船状態発生率)解析による230m大型化PCCの安全性評価を実施した。

ハイブリッドターボチャージャーの船舶実用化技術の開発(2010年度)

4ヵ年計画の2年目。新規ハイブリッターボチャージャーの陸上試験を2010年12月に完了した。また、本船へ搭載後2011年5月に海上試運転を実施しその性能を確認した。今後は就航中の性能モニタリングを実施し、実船での省エネ性能の確認をおこなう。

限界小面積NHVプロペラの研究開発 [Phase2]

4ヵ年計画の1年目。モニタリングシステム(燃費計)を本船に搭載し、現状の本船性能評価を実施した。また、水槽試験をおこない、新型プロペラの省エネ効果(旧プロペラ比)の確認、実船における省エネ効果評価手法の検討をおこなった。

物流ソリューション

総務省ユビキタス特区完成車物流実証実験向け MISEタグの性能改善

種々のGPSの測位精度をフィールド実験により確認するとともに、測位パラメータの最適化により昨年度と比し測位精度を向上させた。また、通信方式の見直しにより、安定した通信を可能とした。さらに、表示性能向上に向け画素数の少ないパネル用フォントを新規開発し、視認性を向上させた。

完成車位置管理システムの性能向上および機能改良

物流現場のニーズを整理し、アプリケーションソフトウェア改良による顧客向けデモシステムの運用性向上を図った。また、GPS測位精度向上、表示性能向上、電池消耗低減を図った。

ITSジャパン完成車RFIDチームプロジェクト参画

TS*ジャパン完成車RFIDチームプロジェクトの会議に参加し、荷主要件の収集・分析の実施、ならびに、機器メーカーとの技術情報交換・連携を通じて、ソリューション構築のための技術基本要件を纏めた。この要件をもとに、ビジネスモデルを構築する。*ITSJ:Intelligent Transport Systems Japan、ITS(高度道路交通システム)

個品輸送向けEPCIS*1 ALE*2ミドルウェアの開発

現有のEPCIS*1 ALE*2を実証実験施設での基礎テストや経産省実証実験に適用し、システムの性能評価を行い、必要部分のカスタマイズを実施した。これにより、個品輸送向けにEPCISを導入するための準備を完了した。*1 EPCIS:Elecdlonic Product Code Information Service
*2 ALE:Application Level Event

RFIDリーダーインターフェイスミドルウェアの開発

個品輸送ソリューションの実証実験用、および、中小規模のプロジェクト用のアプリケーションソフトウェアを短期間で効率的に開発できるようにするためのミドルウェアの開発を行った。

輸送品質

冷凍コンテナ外板穴明き補修用接着剤の実証実験

冷凍コンテナ外板穴明き補修用に実験室実験をおこない絞り込んだ4種の接着剤について、作業性や信頼性評価のための実コンテナを用いたフィールド試験を実施した。実運用冷凍コンテナの外板に試験パッチを4種の接着剤で貼付けた後、同コンテナを実入りで各国へ出荷、同じく実入りで日本に戻して、その「作業性」、補修の「信頼性」を検証した。最終的に推奨接着剤を1種選定するとともに補修作業マニュアルを策定した。

ドライコンテナを利用した定温輸送方法の開発

RADコンテナ(冷凍コンテナによる定温輸送)に替えドライコンテナによる定温輸送を実現すべく、遮熱・断熱材料の選定、施工法の開発をおこなった。MCSを利用した実験、フィールド(CY*)での実輸送試験を実施し、上段、中段および下段の貨物の温度上昇を把握し、断熱素材の適用法について検討した。*CY:Container Yard

業務受託 - 船舶技術

荒天時貨物ダメージ防止ガイダンス

MTIが今までに実施してきた車両輸送中の動揺計測、ラッシング強度に関する解析、MCS(振動台)試験データなどの知見をまとめ、内航RORO船の荒天時貨物ダメージ防止ガイダンス「荒天航海時における車上ラッシング強化のお願い」を作成した。

外販

MCS試験受託

平成23年(2011年)1月1日以降に製造、修理又は改造される液状の危険物を収納するIBC容器に適用される試験基準の規格を満たす振動試験を実施できる体制をいち早く整え、当該振動試験を多数実施した。 また、地震の振動パターンを再現できるデータを揃え、種々の分野のお客様の要求に沿った耐振試験を実施した。