SIMS3

掲載日:2022年10月3日

SIMS3とデータ活用プラットフォームの構築

日本郵船とMTIでは、船舶の燃費性能をより詳しく解析するために、船舶の位置や船速、燃費などの航海系データを収集する「船上データサーバSIMS(Ship Information Management System)」を2008年より開発し、搭載を進めてきました。収集したデータを、衛星通信で陸側にも共有し、船と陸とで連携して、最適運航・燃節運航の取り組みを実施してきました。 2013年には、後継機であるSIMS2を開発し、エンジンの運転状況などの機関系データもあわせて収集できるデータサーバにアップグレードし、エンジンや機関のトラブル早期発見・予防保全といった安全航海にも、船と陸で連携しながらデータを活用してきました。 また、それまでの知見を活かし、船上データ活用に関する国際標準化活動にも参加し、2018年に2つの標準規格である、ISO19847(船上データサーバ機能要件)と、ISO19848(船上データの名称標準)の規格化を実現し、船上データ活用の海事業界でのルールや環境の整備にも貢献してきました。一方で、船陸間の衛星通信では、より高速なサービスが始まり、より詳細で高頻度な船舶データも陸と共有することが可能なりました。

そこで、これまでに培ったSIMSのノウハウや技術を結集し、さらにISO国際規格にも準拠した、次世代船上データサーバとして「SIMS3」の開発と搭載を2020年より取り組んでいます。 SIMS3によって、より高頻度で詳細な船上データを船陸で共有できるようになり、船舶機器のトラブルや初期異常検知の早期発見の瞬時性の向上につながるほか、より細かい状況把握が可能となり、対応の精度向上も可能となります。さらには、その様な詳細なデータと、シミュレーション技術とを組み合わせて活用することで、より安全で効率の高い船舶や機器の設計・製造にも寄与していきます。

データ活用プラットフォーム

(執筆担当:柴田 隼吾)

関連資料

「スマートナビゲーションシステム研究会の取り組み」 著者:一般社団法人日本舶用工業会 三田村昌憲氏

2022年7月15日開催「Smart & Eco-friendly Shipbuilding Equipment International Standards Seminar」における安藤英幸講演資料:「Activities of Smart Ship Application Platform (SSAP) Project」

日本マリンエンジニアリング学会誌 第54巻 第 2 号(2019)掲載論文「船舶データ収集プラットフォーム SIMS とデータ活用の取り組み」

2019年6月26日開催「Maritime Digitalization Summit China 2019」における柴田隼吾講演資料「NYK’s Approach to Maritime Digitalization」

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