『Monohakobi Techno Forum 2011』開催

株式会社 MTI は 2011年11月29日(火)、丸の内の三菱コンファレンススクエア M+(エムプラス)にて「Monohakobi Techno Forum 2011 -MTI講演会-」を開催致しました。

今年第3回目の開催となるフォーラムですが、弊社社長の安永は、開会のあいさつで東日本大震災について触れ、「今年は想定外の出来事で、技術に対する信頼に問いかけがなされた年。技術の本質をあらためて考えさせられた年だった」と振り返りました。

この場を借りて、お忙しい中ご来場頂きました200名近い皆様へ心より御礼申し上げます。また、当日の内容、資料を以下掲載させて頂きますので、お役立てください。

Monohakobi Techno Forum 2011 開催内容

1. 開会挨拶

安永 豊

株式会社 MTI
代表取締役 安永 豊

今年を振り返る時、3月の地震を抜きには語れません。それ以前と以後とで時間の断絶があるかのような気さえ致します。もうじき9ヶ月になろうとしていますが、まだ被災地は復興などという言葉からは程遠い状況にあります。被害を受けた方々に心からのお見舞いを申し上げると同時に、少しでも早い復興をお祈りしたいと思います。

地震や津波の後、想定外という言葉がよく使われました。これまでの「常識」が、そうでなくなりました。原発の事故は「安全神話」の崩壊ということで、技術に対する信頼を揺るがすものとなりました。今年はそういう意味で、技術というものの本質が問われることになった年ではなかったかと思います。

そんな中、船の技術の世界では一つの画期的な出来事がありました。IMOのMEPC62(7月に開催)でEEDIとSEEMPが採択されたこと。京都議定書の大前提となる「共通だが差異ある責任」という原則に対し、世界単一マーケットである海運の世界でのあるべきルールメーキングの姿が問われていたわけですが、確りとした準備と議論を経て漸く決着を見たということで、大きな成果と評価できる出来事でありました。ただ、ルールはあくまでルールであり、それをどうやって運用し遵守していくかということはこれからの課題になるわけで、日本も提案国の一つとしてこのルールの採択に向けて多大な努力を払ってきた立場から、これらの運用面でもリーダーシップを取って行くことが求められるのではないかと思います。すなわち日本発で、このルールの運用にあたって知恵を出し、支え、定着させる努力を、業界の壁を越え、一体となって行っていく必要があるように思います。我々MTIもそうした努力の一翼が担えればと願っています。

本日は、そうした造船・海運業界あげての省エネの動きを踏まえて、MTIとして新たな提案である「スマートシップ」についてまずお話をさせて頂きます。2009年に提案したSES2030というコンセプト船がありますが、そのアイデアを更に進化させて、ハード面だけでなく、使う立場から必要な要件を盛り込み、より具体的なロードマップの形にしてご説明をさせて頂こうと思います 。

その他船関係では、特にPCCで電力消費の大きいファンに関し、省エネ設計を試みましたのでその結果と、昨今大きな問題となっている海賊対策装置の開発についての講演をさせて頂きます。 また弊社の研究開発のもう一つの柱である物流技術関係については、スマートな物流ということで、2004年の創立以来一貫して研究を続けているICタグの車両管理への適用事例についてご披露させて頂くとともに、ドライコンテナ内の温度変化の問題を如何に克服するかという課題についての研究成果を発表させて頂こうと思います。時間の許す限り、お付き合い頂き、内容についてのご批判も賜れば幸いです。

先程、今年は技術の本質が問われる転機となる年であったと申しましたが、IT関係では巨星スティーブジョブズが亡くなったことも一つの時代の終焉という意味では大きなエポックだったと思います。 彼が残した有名な言葉に「Stay hungry, stay foolish.」というものがありますが、私どももその精神を見習いつつ、創立以来7年半を経てはおりますが、初心に帰って既存の概念に縛られずに、スマートシップやスマート物流を目指して研究開発を続けていくことをお約束したいと思います。

最後になりますが、MTIは小さな所帯でして、自社だけで今日お話させて頂くような研究開発が出来るものではなく、一緒にやって頂ける方々とともに進んで参りましたし、これからもそうして行きたいと思っています。今後ともよろしくお付き合いをお願い致しまして、私のご挨拶とさせて頂きます。

~MTI社長・安永豊の開会挨拶より~

2. 講演

安藤 英幸
講演-1「MTIが考えるスマートシップ ~自ら考える船とは?~」

株式会社 MTI
プロジェクトマネージャー:安藤 英幸


「MTIが考えるスマートシップ ~自ら考える船とは?~」(PDF:879KB)

前田 佳彦
講演-2「自動認識技術を活用した車輌管理 -ジャストインタイム物流の実現 -NYKグループ物流拠点での導入事例紹介」

株式会社 MTI
主任研究員:前田 佳彦


「自動認識技術を活用した車輌管理 -ジャストインタイム物流の実現 -NYKグループ物流拠点での導入事例紹介」 (PDF:501KB)

桑田 敬司
講演-3「省エネ大型ファンの開発 ~30%の省エネ達成~」

株式会社 MTI
プロジェクトマネージャー:桑田 敬司


「省エネ大型ファンの開発 ~30%の省エネ達成~」 (PDF:1316KB)

近藤 美樹
講演-4「海上コンテナ内温度と簡易防熱の検討 ~フィールド試験に基づく簡易施工法の開発~」

株式会社 MTI
研究員:近藤 美樹


「海上コンテナ内温度と簡易防熱の検討 ~フィールド試験に基づく簡易施工法の開発~」(PDF:1590KB)

森 健介
講演-5「アンチ・パイレイシー・カーテン (APC)の開発 ~新コンセプトの海賊対策~」

株式会社 MTI
主任研究員:森 健介


「アンチ・パイレイシー・カーテン(APC)の開発 ~新コンセプトの海賊対策~」(PDF:814KB)

3. 閉会挨拶

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株式会社 MTI
常務取締役 松原 知之

今年の発表は、現場密着型のものを取り揃えました。船舶系はメーカさんと本当に密着し二人三脚で開発した省エネ大型ファン。自動車船の大型ファンは合計すると860KWもあるのに数十年来同じ形状のもの、その電力を30%減らせたら260KW、発電機も小さくなるということで、コンピュータを利用した流体力学解析手法・CFDを使用して研究開発に取り組みました。また、ソマリア沖海賊対策は放水が有効だが「一番襲われ易い小型船は2kgの圧力で、片弦120トンという水しか使えない」という制約の中で効果的なものを開発したのが海賊対策装置「APC」でした。

物流系は、コンテナ内温度は輸送中高温になる時があり、お客様の積荷のために簡易防熱が考えられないかという輸送環境の改善。また輸送現場では工場に運び込まれる部品を積んだ何百台もあるトレーラをジャストインタイムで管理できないか、といったテーマで発表させていただきました。

一方冒頭の”MTIが考えるスマートシップ”では今後の我々の研究開発の方向性を述べさせていただきました。これから船はEEDI, EEOIの世界的大競争時代に突入します。その時、数十%省エネ船といった最高のハードを最高の効率で使っていくことが出来れば我々の運航する船はもっともっと”スマート”になり競争力も増します。我々はそこをメインの開発フィールドにこれからの研究開発を進めていこうと思っています。

船会社は使うハードの差別化は難しい、誰でも最高のEEDIの船、最新の省エネ機器を買うことが出来る。でもソフトは真似できない。船はある一定の設計点、例えばエンジンであれば、85%で運航されるように設計されています。しかし、実際の運航では60%位で運転されることが一番多かったりします。そういった時に、どう動かせば、最高の省エネになるのか、まだ誰も知りません。もっとも効率の良い使い方、最高のソフト、あるいはそういったソフトを組み込んだ最高のハード、それがこれからの造船所、メーカさん、我々の新たな差別化、競争力の源泉になると考えています。

そのためにはまず計測し、見える化すること、省エネファン開発、コンテナ簡易防熱の開発もそこから始まりました。また物流系輸送環境の改善、輸送ソリューションの提供もこれからどんどんやっていきたいと思っています。

それでは最後に、それらの開発に向け従来にも増した皆様方のご支援、ご協力をお願いして今年のTechno Forumを終了したいと思います。来年またお目にかかりましょう。 本日は、有難うございました。

~MTI常務・松原の「閉会挨拶」より~


関連リンク

MTI「完了プロジェクト(2011年度)」
『Monohakobi Techno Forum 2010開催レポート』
『Monohakobi Techno Forum 2009開催レポート』


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