船陸通信・サイバーセキュリティ
データ駆動型の意思決定を支えるためには、データを集約・共有する仕組みが重要です。 ICT(情報通信技術)の発展により、多くのデータを扱うことができるようになりましたが、一方で船上機器に対するサイバーセキュリティの重要性も高まっています。MTIでは、こうしたデジタル技術の基盤を支えるための研究開発を進めています。
背景
ICTの発展により、船上で収集されるデータが多様化・大容量化しており、データ駆動型の意思決定を支えるために船舶のサイバーセキュリティ強化が急務となっています。国際海事機関(IMO)は、安全管理システム(SMS)に基づくサイバーリスク管理の徹底を求めており、特に海上人命安全条約(SOLAS)の国際安全管理(ISM)コードに関連してその重要性が高まっています。
また、国際船級連合(IACS)は、2024年7月以降に建造される船舶に対し、OT機器やIPベースの通信機器のサイバー耐性を強化する新たな規則を策定しています。陸上と連携したデータ活用が進む中で、サイバーセキュリティの確保が船舶運航の安全性と効率性に直結する重要な要素となっています。
ゴール
- 船舶におけるサイバーレジリエンスの実現
- 効率的かつセキュアな船陸間データ通信
- 国際規格・業界標準の確立
これまでの取り組み
日本郵船グループでは、2008年から船舶のデータ収集・管理システム「SIMS」を開発し、燃費性能や安全航海の最適化に取り組んできました。SIMS2、SIMS3と進化を遂げ、国際標準化活動にも貢献し、ISO19847およびISO19848の規格化を実現しました。さらに、ノルウェーのDualog社と共同で、船陸間通信のプラットフォーム「Dualog Drive」を開発し、これを基にした国際規格ISO23807(非同期の船陸間データ伝送の一般要件)の制定にも関与しました。この取り組みは、船舶IoTの発展を支援し、船陸間データ通信の効率性とセキュリティを向上させるものです。また、サイバーセキュリティ面では、ペネトレーションテスト等を通じて船舶のセキュリティ強化を図り、早期検知・早期対応の仕組みを構築しています。