規格開発

掲載日：2025年12月23日

自動運航システムは、多くの新規開発が進行中のシステムであるため、現時点で具体的な業界のスタンダードがありません。また、自動運航システムは複数の機器により構成されるとともに、機械と操船者の協調による運用や、陸上の遠隔支援システムとの間の通信も含む、高度なSystem of Systemsとして構成されます。そのため、認知・分析・計画・制御を担う要素技術や、各タスクを担うモジュール・サブシステムに関する主要な要件を規格化することは、システムの設計・タスクの性能評価基準の明確化や、機器換装・比較の容易化の観点で自動運航船の将来的な実用化において極めて重要です。自動運航を担う各要素技術の実装は、航海系サブシステム（センサー、情報統合、避航計画、操船制御）、機関系サブシステム、通信系サブシステム、情報記録管理、および自動運航のステータス管理から構成されます。当社は、自動運航システムとして想定されるアーキテクチャを示した、個々の要素技術に対する規格全体を取りまとめる文書の執筆を担い、各要素技術に関する規格の位置付けと関係性に関する合意形成を進めています。加えて、これらの要素技術の規格に落とし込まれる機能・性能・インターフェース要件に関する議論を協力会社やパートナーの皆様と進め、業界規格を作成するとともに、この業界規格をもとにしたISO（International Organization for Standardization）などの国際規格団体への提案にも取り組んでいます。

自動運航システムの構成概略と規格化の範囲（水色箇所）

(執筆担当：谷下 智紀)