対水船速の計測精度向上に関する論文2本を発表

当社は環境・省エネの観点から、海上輸送に携わる船舶の実海域性能の解析精度向上に取り組んでおり、横浜国立大学、古野電気株式会社と対水船速計の計測技術高度化に関する共同研究を進めています。その研究成果を日本船舶海洋工業会論文集24号(2016年12月発行)へ、2本の論文として発表しましたのでお知らせします。

 

1)論文「船首船底下流場の実船スケールCFD*解析」

著者:日野孝則(横浜国立大学)、安藤英幸、須藤康広、杉田浩士(MTI)、
谷川雅彦(ジャパンマリンユナイテッド株式会社)、虫明昌彦、川浪敏志(古野電気株式会社)

概要:ドップラー式対水船速計の計測精度検討のため、実船スケールの船体についてCFD計算を行い、船首船底下の流速分布の特性を解析した。肥大船と痩型船の計算結果から、船首船底の流速分布は、特に自由表面の影響を大きく受け、船型、喫水および船速によって変化するが、自由表面の影響範囲よりも深い所での流速はほぼ一定とみなせることが明らかとなった。

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*CFD: Computational Fluid Dynamics, 数値流体力学
流体の運動に関する方程式をコンピュータで解くことによって流れを観察する数値解析・シミュレーション手法

 

2)論文「対水船速の計測精度向上に関する研究」

著者:須藤康広、杉田浩士、安藤英幸(MTI)、谷川雅彦(ジャパンマリンユナイテッド株式会社)、虫明昌彦、川浪敏志(古野電気株式会社)、日野孝則(横浜国立大学)

概要:前進する船の周辺には粘性や自由表面の影響による流速分布が存在し、船底下の流速を計測するドップラー式対水船速計の誤差要因となる。本研究では既存のドップラー式対水船速計を改良し、深度方向に多層的に流速分布を計測する多層型対水船速計を考案、実験機を製作のうえ大型船に装備し評価を行った。得られた計測データからは、実スケールCFDと同一傾向の流速分布が確認され、今後、考案した手法による対水船速の計測精度向上につながる一定の成果が得られた。

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