IoSオープンプラットフォーム活用のための試験環境が完成

―船舶デジタライゼーションを牽引し、新たな変革を目指す―

当社は、日本郵船株式会社(以下、日本郵船)、日本電信電話株式会社(以下、NTT)と共同開発中の「次世代船舶IoTプラットフォーム」(注)を本日開設された「IoSオープンプラットフォーム(Internet of Ships Open Platform、以下IoS-OP)のテストベッドセンターに提供し、データ利活用推進への協力を開始しました。
日本郵船グループでは、今後IoS-OPを積極活用することで、安全運航の追求と環境負荷の低減への取り組みを加速させ、新たなビジネスモデルへの変革を目指します。

1. 背景

船舶から収集したデータを海事業界全体で活用するためのオープンプラットフォームを設立する目的で、一般財団法人日本海事協会の子会社である株式会社シップデータセンター(ShipDC)が運営するIoS-OPコンソーシアムが本年6月に発足しました。当社および日本郵船はその中核メンバーとして海運・造船・舶用機器メーカーなど45社とともに参加しました。
これまで、船上のデータ収集装置から衛星通信を経由したデータ送受信テストを行う際、実施に伴う関係者との調整や運航スケジュール上の制約によりテストの機会が限定されるなど多くの課題がありました。その課題解決のため、ShipDCは千葉市緑区にある日本海事協会情報センター内に実船を模擬した環境で試験が実施できるIoS-OPテストベッドセンターを開設しました。

2.「次世代船舶IoTプラットフォーム」提供による効果

日本郵船グループは、2008年から運航船のデータ収集とその利活用に取り組み、燃料の消費量削減やエンジントラブルの早期発見といった具体的な成果をあげてきました。さらに昨年9月からは、NTTグループとともに、船上に設置したデータ収集装置のソフトウェアを陸上から遠隔で配信・管理する仕組みを付加した次世代船舶IoTプラットフォームを開発してきました。このプラットフォームは、日本発の国際規格として先般制定されたISO19847/19848(データの名称とその収集装置に関する規格)に対応しています。
これを新設されたIoS-OPテストベッドセンターに提供することで、コンソーシアム各社は頻繁な更新が必要となるデータ解析ソフトウェアのアップデートや、標準化されたデータ名称に基づくデータ収集が可能になり、今後のデータ収集とその利活用のさらなる効率化が期待できます。

3. 今後の取り組み

IoS-OPを積極活用することで、安全運航の追求と環境負荷の低減への取り組みを加速させるとともに、将来の自動運航船や機器の状態基準保全(CBM)等、データとデジタル技術を駆使した新たな価値の創造を目指し、今後も具体的なソリューション開発に取り組みます。
日本郵船は今年3月に策定した中期経営計画“Staying Ahead 2022 with Digitalization and Green” で持続的な成長を遂げるための戦略を示しました。日本郵船グループはこれまで培ってきた経験と蓄積したデータを活用し、さまざまなパートナーと協働することで、新たな価値創造を目指します。

(注)次世代船舶IoTプラットフォーム
当社と日本郵船が共同開発した、運航状態や燃費・機器状態など毎時間の詳細な本船データを船陸間でタイムリーに共有可能な装置であるSIMS(Ship Information Management System)に、NTT研究所のエッジコンピューティング技術を応用し、新機能やアプリケーションを陸上から遠隔で配信・管理する仕組みを付加したもの。

関連リンク

2017年9月19日付プレスリリース:船舶IoTの次世代プラットフォームに関する共同実験の開始とさらなる連携について

2018年2月15日付プレスリリース:船舶IoTの次世代プラットフォームの共同実験に成功

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