自動運航船

有人自律船を目指した技術開発

日本郵船グループでは、船上の高度な自動化技術と陸上拠点からの遠隔支援により船上の乗組員の操船業務をサポートし、より安全性・効率性の高い船舶の運航を可能とする「有人自律船」を目指しています。有人自律船では、柔軟性が極めて高く、曖昧なものの情報処理が可能であるというような人間の特性と、情報処理能力が高く常に客観的であるというような機械の特性を合わせることによって、人間の処理能力を超えた状況への対応や、人間の弱みを補完するような支援が可能となります。

図1)衝突防止支援機能

当社では、その要素技術として衝突防止支援機能(図1)や、離着桟支援機能(図2)などの研究・開発を実施してきました。いずれも、機械による高度な情報認識・分析結果を人間が理解し易いインタフェースで表示することで、船上乗組員の操船業務をサポートします。また陸上拠点からの遠隔支援として、本船に搭載されたセンサやカメラの情報やその分析結果、および陸上でしか得られない(広範囲の気象・海象情報など)の分析結果を基に、陸上で航路計画を作成して本船側に提示し、本船乗組員が提示された計画を承認することで、本船が提示された計画に沿って自動で航行するというようなシステムの検証・評価を実施してきました。

図2)離着桟支援機能

自律船フレームワークの開発

上述の技術開発を基に、2020年に自律船フレームワークAPExS(Action Planning and Execution System)を開発し、日本海事協会のコンセプト認証を取得しました。APExSは、機械よる高速・正確な情報処理技術やリスク分析により、乗組員が操船のために必要な状況認識と意思決定をサポートし、乗組員の承認のもとで機械が本船制御を実行する、という有人自律船実現のためのフレームワークです。また機械部分の役割をさらに能動的な人間のサポーターとして位置付け、機能をより高度化(自動化)させたAPExS-auto(図3)の開発も行いました。

図3)APExS-auto

無人運航船の未来創造プロジェクト ~多様な専門家で描くグランド・デザイン~

日本郵船グループは2020年~2022年に公益財団法人日本財団が進める無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」における「無人運航船の実証実験にかかる技術開発共同プログラム」にてDFFAS(Designing the Future of Full Autonomous Ship)コンソーシアムに参画しました。本コンソーシアムにおいて、MTIでは従来の技術開発及び完全自律船フレームワークAPExS-autoをベースにシステムのコンセプト設計及びリスクアセスメントを行い、自律機能を司る船舶側システムと陸上での監視・支援を可能とする陸上側システム、また船陸間における安定した情報通信を実現する通信システムから成る完全な無人を想定した自動運航システムを開発しました(図4)。そして、2022年2月26日から3月1日にかけて、東京港~津松阪港~東京港の約790kmにおける航海を離岸操船・湾内航行・沿岸航行・着岸操船といった一連の航海を本自動運航システムで実現しました。

図4)DFFAS PJにおける自動運航システムの開発

(執筆担当:栁原 智哉)

関連リンク

【無人運航船実現への挑戦】DFFASコンソ―シアム ドキュメンタリー映像(Short ver.)

Monohakobi Techno Forum 2021講演資料:「自律船導入の背景と実現に向けた課題 ~DFFASプロジェクトの取り組みから~」 中村 純

Monohakobi Techno Forum 2021講演資料:「自律船の設計・実装アプローチ ~DFFASプロジェクトの取り組みから~」 栁原 智哉

Monohakobi Techno Forum 2021講演資料:「自律船の評価・検証体制 〜DFFASプロジェクトの取り組みから〜」 西山 尚材

2022年3月15日発表プレスリリース「国内初、完全自律船フレームワークの船級認証を取得 ~無人運航船実現のためのコンセプト~」

2022年3月2日発表プレスリリース「無人運航船の実運用を模擬した実証実験実施 ~無人運航システムを用いて東京港・津松阪港間 約 790kmを往復~」

2021年9月13日発表プレスリリース「無人運航船のフリートオペレーションセンター竣工 ―日本財団の無人運航船プログラム DFFASプロジェクト―」

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