シミュレーションプラットフォーム

掲載日:2022年10月3日

研究の背景

当社では海事分野でのシミュレーションプラットフォームの活用について研究を進めています。複雑なシステムや現実に作るには多大なコストがかかるハードウェアに対し、開発やテスト段階におけるシミュレーション技術活用を通じて解決を図るという手法は、主に自動車産業、航空宇宙産業で活発に進められています。海事産業においても活用が始まっており、その目的に合わせて様々なシミュレーションプラットフォームが使い分けられています。また昨今では特定の分野(例えば運動と電気)を統合したシミュレーションや各ツール・ソフトウェアの開発も盛んに行われています。

FMIと連成シミュレーション

シミュレーションをするためには「目的」「評価のための指標」「モデリングの方法」「ツール・ソフトウェア」など様々なことを考慮する必要があります。それぞれに分野ごとに異なる方法論や経験論がありますが、ここでは一つ具体的な技術として「FMI(Functional Mockup Interface)/ 連成シミュレーション (Co-simulation)*1」をご紹介します。FMIは異なるツールで作ったモデルをつなぐ共通規格であり、それらを連携させながらシミュレーションすることがCo-simulationと呼ばれています。作成ツールを問わずに、異なるドメインでも統合してシミュレーションが可能な本技術は、複雑な課題に対する複数の参加者でのコラボレーション作業にも適しています。

コンソーシアムへの参画

当社ではFMI/連成シミュレーション等の技術を目的に合わせて「使う」だけではなく、「作る」ことにも携わっています。舶用のシミュレーションプラットフォームを開発、オープンソースとして公開するプロジェクト「Open Simulation Platform-Joint Industry Project:OSP-JIP」に当社も2年間にわたり参画しました。本プロジェクト自体は終了していますが、得られた知見・技術だけでなく、当時培われた人・会社のネットワークが現在の研究開発活動でも大いに役立っています。

シミュレーションプラットフォームのデモ画面*2

今後の展開

当社は2022年10月から東京大学社会連携講座「海事デジタルエンジニアリング」(英語名:Maritime and Ocean Digital Engineering、略称MODE)*3)」に参画しています。本講座ではモデルベース開発(MBD)とモデルべースシステムズエンジニアリング(MBSE)の海事業界での活用を推進すべく、シミュレーション共通基盤の開発が重要な研究事項の一つとなっています。

海事業界の複雑高度な課題を、多様な参加者が協同して、安全に効率よく解決していくために、日本郵船グループ内外と協力して、研究開発を進めていきます。

(参加企業:*3より引用)

*1 FMIウェブサイト

*2 MTIジャーナルNo.14「船舶Open Simulation Platformへの取り組み」石井 誠一郎

*3 2022年8月8日発表プレスリリース:東京大学に「海事デジタルエンジニアリング」社会連携講座を開設 ―サステナブルな海上物流を実現するシミュレーション共通基盤の構築へ―

(執筆担当:松井 忠宗)

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