ロケット洋上回収
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙戦略基金「将来輸送に向けた地上系基盤技術(A)再使用機体の回収系に係る地上系基盤技術開発」に採択され、代表機関である日本郵船株式会社、連携機関である三菱重工業株式会社、国立大学法人大阪大学と共に、協力機関として再使用型ロケットの洋上回収システムおよびその基盤技術の研究開発を行っています。
背景
近年、宇宙関連産業の市場規模は急速に拡大しており、ロケットの打ち上げ頻度の増加やコスト低減が求められています。その解決策として、機体を繰り返し使用する「再使用型ロケット」の開発が世界的に進展しています。 国土面積が限られた海洋国家である日本において、再使用型ロケットを安全かつ効率的に運用するためには、陸上ではなく洋上で機体を回収する技術が不可欠であり、国の宇宙技術戦略において極めて重要なテーマと位置付けられています。MTIは日本郵船グループの一員として、長年培った研究開発ノウハウや自動運航技術を応用し、この新たな社会インフラの構築に貢献します。
目的
本プロジェクトでは、再使用型ロケットが洋上の回収船に着地し、安全に帰還するためのシステム全体の開発および技術実証を行います。具体的には以下の技術開発に取り組みます。
- 外洋での運用を可能とする洋上回収システムの開発
- 機体捕獲技術: ダイナミック・ポジショニング・システム(DPS)等の洋上定点保持技術を活用し、ロケットを確実に着地させる技術。
- 安全化技術: 捕獲したロケットを船上で固定し、残留推進薬を安全に排出・処理する技術。
- 着陸用甲板開発: ロケット着陸時の高温噴流(プルーム)や着地衝撃に耐えうる特殊な甲板構造の開発。
- 遠隔運用技術: ロケットの着地時は無人運用となるロケット回収船を、司令環境等から遠隔で制御・監視する技術。
- 実証実験と安全性評価
- 洋上回収船の試作および地上・洋上での実証試験の実施(2028年度予定)。
- 運用計画や保守計画、設備要件に基づくガイドラインの整備およびAiP(概念設計承認)の取得。
システム構成イメージ
洋上回収システムは、ロケットの1段目が着地する「回収船」と、回収プロセスを支援・司令する「司令船」の2隻で構成されるコンセプトです。回収船はロケット着地時には完全無人化され、安全確保後に司令船と連携して港へ帰還します。


パートナー

関連リンク
- 宇宙戦略基金HP:将来輸送に向けた地上系基盤技術
- 2025年04月22日付日本郵船プレスリリース「JAXAの宇宙戦略基金事業に海運会社で初めて採択」
- 2025年07月24日付日本郵船プレスリリース「再使用型ロケット洋上回収システムのコンセプト承認(AiP)を取得 」
- 日本郵船の挑戦 Project Story ―Table Session-「宇宙事業への参画、新たなイノベーションを」
- 第69回 宇宙科学技術連合講演会講演集、論文「ロケット回収用船舶における船体動揺が着陸条件に及ぼす影響に関する考察」 1J15 2025.11.25
小知井秀馬,松下凜太郎,Sreenath Subramaniam(MTI),松谷広,今井源太(三菱重工業),山口真,寿賀大輔(日本郵船)
※本論文の著作権は日本航空宇宙学会に帰属 - 第69回 宇宙科学技術連合講演会講演集、論文「日本郵船におけるロケット洋上回収船の研究開発・事業開発の取り組み」 1J10 2025.11.25
児玉諭彦,加藤祥太,寿賀大輔,笹川亮,魚川隆史,名和真也(日本郵船),小知井秀馬,松下凜太郎(MTI)
※本論文の著作権は日本航空宇宙学会に帰属 - MTI Journal記事「海洋×宇宙で取り組む ロケット洋上回収システムの開発」松下 凜太郎(主筆)小知井 秀馬(執筆協力)
本取り組みは宇宙戦略基金の補助を受けて実施しています。
