国内初、自律船フレームワークの船級認証を取得
~高度な技術で乗組員の状況認識と意思決定をサポート~

当社は日本郵船株式会社(以下、日本郵船)とともに自律船フレームワーク(開発コード「APExS」)を策定し、一般財団法人日本海事協会(以下ClassNK)からその安全性が評価され、2020年2月20日にコンセプト設計の認証を取得しました。自律船に関する船級認証の取得は国内初の事例となります。当社および日本郵船はこのフレームワークをもとに国内外のパートナーとの連携をさらに深め、高度な安全運航に資する自律船技術の開発に取り組みます。

背景

海難事故の約8割は、不十分な見張りや操船ミスなどのヒューマンエラーに起因していると言われています。従来は、安全管理マニュアルやBRM(注)により、こうした事故の低減に努めてきましたが、コンピューター技術の進歩により、人間の強みとコンピューターの特性を組み合わせることで、従来以上に安全性を向上させることが可能になりました。当社および日本郵船は、コンピューターが操船者を助けることで高度な安全運航を達成する新しい運航体制を有人自律船と位置づけ、国内外のパートナーとの研究開発を進めてきました。

自律船フレームワークの概要

開発コード「APExS」は、Action Planning and Execution System(計画実行システム)の略です。これは、コンピューターによる高速な情報処理技術やリスク分析により、乗組員が操船のために必要な状況認識と意思決定をサポートし、乗組員の承認のもとでコンピューターが操船操作を実行する、という有人自律船実現のためのフレームワークです。

船級認証について

当社および日本郵船は自律船フレームワークの開発に向けて、ClassNKと共にシステムの使用条件やバックアップ体制など安全性の検証を行ってきました。人間とコンピューターとの間のコミュニケーションの問題については、適切な設計、手順、トレーニングを行うことで、許容できるレベルまでリスクが低減されること、また、従来の最大リスクであるヒューマンエラーを大きく低減することがそれぞれ確認されると共に、ClassNKの基準を無事クリアし、コンセプト設計の認証に至りました。

今後の展開

今後はこのフレームワークを活用し、多くのパートナーと有人自律船のあり方について共通認識を持ち、協業することで有人自律船の実現を目指していきます。

 

(注)BRM (Bridge Resource Management)
ブリッジ(船橋)内での乗組員同士の連携や正しい状況認識、判断のために利用できる航海計器の情報等を最大限活用して、ヒューマンエラーを低減するコンセプト。操船へのBRMの導入と船員へのBRMトレーニングはIMO STCW条約で義務付けられている。

※日本郵船グループは事業活動を通じてSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献する活動を推進しており、
有人自律運航船の実現に向けたデジタル技術の活用や技術開発の取り組みは、以下の目標達成に寄与します。

 

 

関連リンク

ClassNKホームページ_2020年5月14日発表:日本郵船及びMTIが開発を進める自律船フレームワークに基本承認(AiP)を発行

日本郵船のプレスリリース記事へ

<日本郵船グループの有人自律運航船の実現に向けたさまざまな取り組み>

2019年06月6日発表:自律運航船コンソーシアム「One Sea」に参画~アジア企業初、国際的な基準作りに貢献~

2019年03月12日発表:着岸事故リスクを見える化~操船支援システムを開発し、事故ゼロへ~

2018年8月10日発表:遠隔操船技術の実証事業に参加

2018年7月26日発表:AI等を活用した避航操船研究