SIMS
最終更新:2025年7月3日
SIMSとデータ活用プラットフォームの構築
日本郵船とMTIでは、船舶の燃費性能をより詳しく解析するために、船舶の位置や船速、燃費などの航海系データを収集する「船上データサーバSIMS(Ship Information Management System)」を2008年より開発し、搭載を進めてきました。収集したデータを、衛星通信で陸側にも共有し、船と陸とで連携して、最適運航・燃節運航の取り組みを実施してきました。
2013年には、後継機であるSIMS2を開発し、エンジンの運転状況などの機関系データもあわせて収集できるデータサーバにアップグレードし、エンジンや機関のトラブル早期発見・予防保全といった安全航海にも、船と陸で連携しながらデータを活用してきました。また、それまでの知見を活かし、船上データ活用に関する国際標準化活動にも参加し、2018年に2つの標準規格である、ISO19847(船上データサーバ機能要件)と、ISO19848(船上データの名称標準)の規格化を実現し、船上データ活用の海事業界でのルールや環境の整備にも貢献してきました。

データ活用プラットフォーム
一方で、船陸間の衛星通信では、より高速なサービスが始まり、より詳細で高頻度な船舶データも陸と共有することができるようになりました。2020年には、それまでのSIMSのノウハウや技術を結集し、ISO国際規格にも準拠した、次世代船上データサーバとして「SIMS3」の開発と搭載に取り組みました。SIMS3によって、より高頻度で詳細な船上データを船陸間で共有できるようになり、船舶機器のトラブルや初期異常の早期発見の瞬時性向上につながるほか、より細かい状況把握ができるようになり、対応の精度向上も可能となります。さらには、その様な詳細なデータと、シミュレーション技術とを組み合わせて活用することで、より安全で効率の高い船舶や機器の設計・製造にも寄与します。
また、近年のLNGやアンモニアなど代替燃料船への要請から機関の規模、複雑性が増してきていること、主機以外のデータ取得によるより包括的な状態監視、解析への要請から、SIMSのさらなる進化に取り組んでいます。
(執筆担当:橋本 仁)
関連資料
「スマートナビゲーションシステム研究会の取り組み」 著者:一般社団法人日本舶用工業会 三田村昌憲氏
日本マリンエンジニアリング学会誌 第54巻 第 2 号(2019)掲載論文「船舶データ収集プラットフォーム SIMS とデータ活用の取り組み」
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